入射角なし曲線ポイント
にゅうしゃかくなしきょくせんぽいんと
curve point without switch angle
入射角なし曲線ポイントとは、トングレールの線形が曲線となっていて、基本レールとトングレール先端との取付け部分に入射角がないポイントであり、現在使用されている分岐器は、ウイットねじNレール用分岐器・メートルねじNレール用分岐器・新幹線用分岐器・60kgレール用分岐器(10番・12番を除く)である。別名、接線ポイントとも呼ばれている。
目次
入射角なし曲線ポイントの特徴
トングレールの曲線形が基本レールに接する形式のものであり、特徴としては、
- トングレールの曲線が基本レールと接するため、入射角なしポイントとなる。
- リード半径とポイント半径を一致させると、リード半径ごとにポイントを設計しなければならない。したがって、両開き分岐器・振分け分岐器の各ポイントごとにそれぞれ別の品形となる。
- トングレールに曲線を付けるため、製作の加工が難しくなる。
- 比較的トングレール長が長くなる。
となっている。
ウイットねじNレール用分岐器の入射角なし曲線ポイント
ウイットねじNレール用分岐器は、昭和37年に制定されたNレール用の分岐器のポイントであり、入射角のない曲線ポイントが使用されていて、特徴として、
- トングレールの製作に使用するレールは、Sレールを使用している。
- トングレールの先端の薄くなる部分は、取り去っている。
- スラックは、最大15mmとして設計されている。
- 座金やレールブレスを調節式として、床板は丸止めクギにてまくらぎに締結されている。
- 転てつ棒は、トングレール底部を直接接続している。
- ポイント後端の継目は、継目板形式の関節構造を採用している。
である。 このポイントは、最高速度を95km/hで通過できるよう設計されている。その後、メートルねじNレール用分岐器に改める際に、高性能優等列車については、最高速度を100km/hで通過できるよう設計した。最近においては、高速用分岐器として、各部において補強を施し、高性能列車の最高速度を120km/hで通過できるようにした。
メートルねじNレール用分岐器の入射角なし曲線ポイント
ウイットねじNレール用分岐器から、メートルねじNレール用分岐器に切り換わる時、各部において若干の改良を施した。主な改良点は、
- 転てつ棒は連結板によりトングレールと接続した。
- ヒール部分には、トングレールの飛び出し防止として、ガタボルトと呼ばれる段付きボルトを追加した。
- 丸止めクギから角止めクギに変更した。
- 通し床板を調節可能とした。
- 球面ボルトの首部を角型として、回り止めを施した。
などの改良である。
新幹線用分岐器の入射角なし曲線ポイント
新幹線用分岐器のポイントは、開発当初、50kgTレール用として設計され、トングレールには70Sレールを採用していた。その後、設計された60kgレール用には、90Sレールが使用されるようになった。 新幹線用分岐器には、高速用として本線路に用いる分岐器と、側線など低速区間に用いる分岐器がある。
新幹線高速用本線分岐器
新幹線の本線に使用する分岐器は、高速走行に耐えるため締結装置を強化した構造となっている。特徴としては、
- 曲線ポイントを採用している。
- トングレールにSレールを使用している。
- ポイント後端は、弾性構造をした弾性ポイントを使用している。
- 基本レールには、トングレールと接触する部分に、あご下削りを実施している。
- トングレールの接着確認のため、接着照査器が取り付けてある。
- 床板やレールブレスは、調節式となっている。
- 床板のボルトはT形ボルトが使用されている。
- 床板は、まくらぎにねじクギで締結されている。
新幹線低速用分岐器
新幹線に用いる分岐器でも、車両基地内など低速区間で用いる分岐器には、特に高速用であることの配慮は必要ないことから、経済性を考えたポイントを使用している。これらのポイントの基本的な構造は、メートルねじNレール用分岐器と同じであり、曲線ポイントを使用して、次のような特徴がある。
- 基本レールのあご下削りと底部削りをおこなっている。
- 止め金具を基本レールに取り付けている。
- 床板上部の突起に基本レール底部を差し込んでいる。
などである。