伸縮継目
提供: 保線ウィキ
しんしゅくつぎめ
expansion joint , adjustment switch , expansion device , sliding joint
伸縮継目とは、おもにロングレールの始終点に設けられている継目の一種で、温度によるレールの伸縮量が多くなっても対応が可能な継目である。
伸縮継目の特徴
伸縮継目は、ロングレールの始終点に用いる継目の一種で、温度変化によるレールの大きな伸縮に対応できるよう設計されていてる。その構造は色々あるが、受けレールとトングレールが斜めに重なり合って接続されているのが一般的である。
伸縮継目で最大に伸縮量を補えるのは、50kgNレールで±62.5mm、60kgレールで±100mmとなっている基本であるが、その他にも、曲線区間など特殊な場所とか、短い区間で伸縮量を少なく設計された小ストローク伸縮継目も多数存在する。
伸縮継目の種類
形式による分類
代表的な形による分類は以下のとおりである。
種類 | 用途 |
---|---|
片トング型(A形式) | 受けレールが直線であり、車輪の乗移りが比較的容易で、受けレールとトングレールの重なり部分を長くすればほとんど衝撃を受けない。しかし、レールの伸縮により伸縮継目の軌間が変化する。また、軌間を一定に保つようにすると受けレールとトングレールの間に隙間が生じてしまう。 |
片トング型(B形式) | 受けレールが曲線になっていて、レールの伸縮によって軌間の変化がなく一定である。受けレールがトングレールを弾性的に押し付けているので、両レールの間に隙間は生じない。日本ではこの形式が一般的に採用されている。 |
両トング重なり型 | 受けレールがなく、左右レールがトングレールとなっていて重なり合っている。斜め接着絶縁継目のような形であり、フランス国鉄で使用されている。 |
両トング突合せ型 | 左右のトングレールの間に、短い固定されたトングレールが敷設されている。スペイン国鉄で使用されている。 |
欠線サイドレール型(欠線ガードレール型)(C形式) | 継目が千鳥型になっていて、レールを縦半分に削正された左右レールにて接続されているため軌間線欠線部がり、対面にはガードレールが設置されているのが特徴である。ベルギー国鉄にて使用されている。 |
日本における伸縮継目の設計
日本において伸縮継目を本格的に採用され始めたのは、東海道新幹線が開業するころである。当初は、全ての伸縮継目の種類を試験敷設した。
その結果、レール断面を大きく切り欠く形式は、レール損傷が発生する可能性が大きく、構造が複雑になることが判明した。
したがって、日本においては、片トング型(B形式)が採用されて現在に至っている。