「アンチクリーパー」の版間の差分
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2013年10月7日 (月) 17:52時点における版
あんちくりーぱー
anti-creeper , rail anchor , anti creep(ing) device
アンチクリーパーとは、敷設されているレールが、ふく進によって少しずつ長手方向に移動するの防ぐために取り付ける装置のことである。
目次
アンチクリーパーの概要
レールのふく進を防止する装置のことである。
線路に敷設されているレールは、列車の制動や力行のとき、列車の荷重の移動による上下運動などが原因で、その力がレール方向に加えられる。力が加えられてレールが移動してしまうことをふく進という。
ふく進はレール締結装置だけではなかなか止められない。特に木まくらぎ区間で犬クギによる締結では、道床縦抵抗力よりレール締結力が無いので、レールはまくらぎの上をふく進してしまう。
レールがふく進してしまうと、定尺レールが敷設されている区間では、レールとレールを接続している継目の遊間が悪くなる。遊間が過大となったら、継目を車輪が通るときの衝撃が大きくなり、レール端部が破端というレール損傷を招き、また、過小の場合は夏場のレール張り出しによる事故の原因となる。
アンチクリーパーの性能
レールのふく進を防止するもので、レールがまくらぎ上を滑動しないように十分な抵抗力を持たせるために取り付けられる。
そして、アンチクリーパーに求められる性能としては、
- 簡単な構造で取り扱いが容易なもの。
- 十分な強度があって、取り扱い中の打撃や列車からの繰り返される荷重を受けても破損しないもの。
- 取り付けた場合に、レールとの間の滑り抵抗力はまくらぎ1本の道床縦抵抗力より大きいこと。
- あまり高価なものでないこと。
- 何度も繰り返し使用できること。
などが求められる。。
アンチクリーパーの種類
現行のアンチクリーパーは、
- A型アンチクリーパー(ヘンギ型)
- B型アンチクリーパー(くさび型)
- C型アンチクリーパー(フェアー型)
の3種類である。おもにA型とB型は一般の区間に設置しする。C型は、A型・B型では脱線防止ガードなどがあり、取り付け困難な場所に使用していた。しかし、昭和34年にB型アンチクリーパに統一されて現在に至っている。
それ以前のアンチクリーパには多種多様な形があり、
- 戸畑型
- 改良戸畑型
- ユニット
- 住友型
- ヘンギー
- 外山型
- イムプルーブトー
- ベスコ
- ウインビー
- フェアー
といったものが使用されていた。
アンチクリーパーの取り付け方法
A型アンチクリーパー
A型のアンチクリーパーを取り付けるときは、アンチクリーパーのフックが大きい方を先にレールの底部に引っ掛ける。続いて反対側のレール底部にもう一方のアンチクリーパーのフックを引っ掛ける。そして、後に引っ掛けた方のアンチクリーパーの膨らんだ部分をハンマーで打ち込み固定します。左右のフックとレール底部の3点がレールに十分に固定されていることを確認して取り付けが完了する。
取り外すときは、最初にレールの底部に引っ掛けた方のアンチクリーパーをハンマーで軽く叩いて取り外す。
注意点として、取付け時の打込が不十分だと列車の振動により外れやすくなる。また、打ちすぎるとレール底面とアンチクリーパを傷つけるので注意が必要である。
B型アンチクリーパー
B型のアンチクリーパーを取り付けるときは、通称、下駄と呼ばれているL型をした楔(くさび)というものをレール底面とまくらぎの側面に隙間なく当てる。そして、通称、耳と呼ばれている本体をレール底部と楔にはめて、楔より本体が約10mm以上出して、楔がよく締まるまでハンマーで本体の左右両端を叩く。
取り外すときは、はめ込みと逆の本体をハンマーでまくらぎ側から叩く。
注意点として、楔には1/10の勾配が付いているので、レール底部に楔を密着させること。また、楔はそれぞれの厚さが異なっているので、最初に薄い方の楔をレール底部側に当てて使用し、レール底部が摩耗して本体が締まらなくなったら楔の厚い方をレール底部に当てて使用する。
PCまくらぎ用のアンチクリーパーの楔は、マクラギ側に当たる片面にゴム製のパットが取り付けられているので、木まくらぎ用の楔のように両面は使用できない。
C型アンチクリーパー
C型のアンチクリーパーを取り付けるときは、引っかかる方をレールの底部の先に取り付ける。そして、引っ掛けた方のアンチクリーパーの端をハンマーで叩いて固定する。
取り外すときは、取り付け時に叩いた方の反対側を下から叩く。
アンチクリーパーの抵抗力
アンチクリーパーを実際に敷設するときの取り付け個数は、線路等級や線路こう配で軌道10mあたりの取り付け個数がそれぞれ決まっている。しかし、あくまで標準であり実際には現地の軌道構造・列車本数・道床と路盤などの線路条件により、アンチクリーパーの取り付け個数を増減しているのが現状である。
PCまくらぎ用のアンチクリーパー
一般的にアンチクリーパーは、PCまくらぎ区間や木まくらぎ区間でも二重弾性締結が敷設されている区間では、敷設しなくてもよいいことが原則となっているが、PCまくらぎの二重弾性締結ではレールのふく進が抑えられない区間などの特殊な場合のために、PCまくらぎ用アンチクリーパーが規格化されている。