テルミット溶接

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てるみっとようせつ
thermit welding , aluminothermic welbing , thermite weld
テルミット溶接を作業しているところ。レールの上部のるつぼで反応させてレールに流し込んでいるところ。
敷設されている60kgレール溶接継目であるテルミット溶接。

テルミット溶接とは、溶接継目のひとつで、酸化金属とアルミニウム間の脱酸反応を溶接に応用したものである。

鋼用テルミット溶接の反応

テルミット溶接の化学反応は、

  • 3Fe3O4+8Al=9Fe+4Al2O3
  • Fe2O3+2Al=2Fe+Al2O3
  • 3FeO+2Al=3Fe+Al2O2

である。

反応は強烈であり、生成する鉄の理論的温度は約3,100度といわれている。しかし、反応自体は爆発的ではなく、反応開始に約1,200度を必要とするため、取り扱いは比較的安全である。

実用化された鋼用テルミット剤は、酸化鉄とアルミニウム粉末の混合物に、生成物の温度を制御して溶接金属の機械的性質を使用目的に適合させるため、鋼片・合金鉄・グラファイトなどを加えたものである。

添加剤によって反応を開始させ、生成する鋼の温度は、2,100度から2,400度程度といわれている。反応で生じた溶融金属を接合に利用する。

テルミット溶接の特徴

テルミット溶接の特徴として、

  • 溶接作業が比較的に単純であり、技術の習得が容易である。
  • 溶接器具が簡単で軽量であることから設備費が安く機動性がある。
  • 溶接に電力を必要としない。
  • 溶接所要時間が比較的短い。

以上のことがあげられる。

エンクローズアーク溶接と同様に、レールに加圧・圧縮を必要としないことから、敷設されているレールに対しての溶接に適している。

溶接部が鋳物であり、レールの腹部・底部の余盛が大きいことなどから、他の溶接法による接合部に比べて強度面でやや劣るが、実用には十分な強度を有している。

現在では、テルミット溶接の改良型で従来のものより信頼性、施工性に対して飛躍的に改良がなされたゴールドサミット溶接が導入されている。原理的にはテルミット溶接と同じであるが作業工程などが改良されている。