頭部熱処理レール

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とうぶねつしょりれーる
head hardened
50kgNレールでの頭部熱処理レール。熱処理されたレールには銘板がある。
昭和41年5月に八幡製鐵株式会社にて製造された頭部熱処理レールを表す真鍮製の銘板。
37kgレールで製造された頭部熱処理レール。日本鋼管の銘板が入る。
昭和46年1月に日本鋼管で製造された頭部熱処理レール。製品番号や硬度が刻印されている。

頭部熱処理レールとは、レールの耐摩耗性とじん性を向上させるために普通レールの炭素鋼レールの頭部に焼入れ・焼戻しの熱処理を施したレールである。別名HHレールという。

熱処理レールの概要

日本の普通レールは、炭素含有量が0.63%から0.75%と高く、圧延のままでもブリネル硬さがHB240からHB265とかなりの耐摩耗性を有している。

しかし、急曲線の外軌レールでは、車輪からの大きな横圧による接触圧力と車輪フランジの滑り接触によって著しい偏摩耗レールが発生する。

したがって、このような箇所は、普通レールより対摩耗性の高いレールを使用する必要がある。レール全長にわたって頭部を熱処理したレールが使用されている。

熱処理レールの製造方法

熱処理レールの製造方法は、

  • 高周波誘導加熱方式
  • 炎加熱方式

の2種類がある。


高周波誘導加熱方式

高周波加熱方式は、焼入れと焼戻しをそれぞれに加熱用コイルを普通レールの頭部を包む形に設置して、低電圧で高周波の1次大電流を流し、レール頭部に誘導電流が流れ加熱される原理を用いて製造される。

  1. 高周波加熱装置を普通レールを0.5m/min程度の速度で移動させる。
  2. レールが焼入れコイルの下を通りながら、レール頭部が焼入れ温度の1,000度まで加熱される。
  3. その後、噴水により急水冷する。
  4. 引き続き焼戻しコイルを通りながら、焼戻し温度の600度まで加熱する。
  5. その後、水冷されて熱処理レールが完成する。

炎加熱方式

  1. 炎加熱方式は、COガス火炎(コークスガス炎)の中に普通レールを0.3m/min程度の速度で移動させながら、焼入れ温度の約850度まで加熱する。
  2. 急水冷して引き続き焼戻し温度の約550度に加熱する。
  3. 水冷して熱処理レールとなる。