軌道用ゲージ

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きどうようげーじ
track gauges

軌道用ゲージとは、軌道における「水準」「カント」「軌間」「バックゲージ」が測定できる器具のことである。別名、標準ゲージとも呼ばれている。

軌道用ゲージの概要

軌道用ゲージは、日本工業規格(JIS E1507-1995)に規格化されている。

日本工業規格 JIS E1507-1995 軌道用ゲージについて

適用範囲

この規格は、軌道の水準、カント、軌間及びバックゲージを測定する軌道用ゲージ(以下、ゲージという。)について規定する。

備考 この規格の引用規格を、次に示す。 JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条

種類

ゲージの種類は、測定項目及び軌間によって区分し、次のとおりとする。

種類 測定項目 軌間
N-1 水準、カント 1,067 mm用
N-2 軌間、バックゲージ 1,067 mm用
N-3 水準、カント、軌間、バックゲージ 1,067 mm用
S-1 水準、カント 1,435 mm用
S-2 軌間、バックゲージ 1,435 mm用
S-3 水準、カント、軌間、バックゲージ 1,435 mm用

性能

  • N-1 N-3 S-1及び S-3 のゲージは、次の範囲の水準及びカントを測定できるものでなければならない。
種類 測定範囲
N-1 N-3 -10 mm から 120 mm まで 1 mm ごと
S-1 S-3 -10 mm から 220 mm まで 1 mm ごと
  • N-2, N-3, S-2 及び S-3 のゲージは 次の範囲の軌間を測定できるものでなければならない。
種類 測定範囲
N-2 N-3 1,057mmから1,107mmまで1mmごと
S-2 S-3 1,425mmから1,475mmまで1mmごと
  • N-2 N-3 S-2及びS-3のゲージは、次の範囲のバックゲージを測定できるものでなければならない。
種類 測定範囲
N-2 N-3 1,015mmから1,037mmまで1mmごと
S-2 S-3 1,383mmから1,405mmまで1mmごと
  • ゲージの器差は、±0.5 mm 以下でなければならない。
  • ゲージの絶縁性能は、下記の試験によって測定したとき、両端金属部間 50 MΩ以上の抵抗をもっていなければならない。

形状、寸法及び質量

ゲージの全長、質量及びつめの長さは、次による。

種類 全長(mm) 質量(kg) つめの長さ(mm)
N-1 N-2 N-3 1,300以下 1.8以下 14
S-1 S-2 S-3 1,700以下 2.3以下 14

外観

ゲージ主体部の表面は滑らかで、使用上有害な節、目切れ、虫食い、曲がり、ねじれなどの欠陥があってはならない。また、つめは主体部に直角に取り付け、その表面は十分平滑でなければならない。

材料

ゲージに用いる材料は、次のとおりとする。

主要部品名 材料
主体部 ひのき(檜)(含水率 15%以下のもの)又は使用上これと同等以上の性能をもつもの。
金属部 JIS H 3100 の C 2801 P 又は 使用上これと同等以上の性能をもつもの。
測定部つめ JIS G 4304 の SUS 304-HP 又は 使用上これと同等以上の性能をもつもの。

塗装

ゲージの主体部には、適当な防湿塗装を施さなければならない。

試験

ゲージの絶縁性能試験は、室内にて絶縁抵抗計を用い、DC500 V にて行わなくてはならない。

検査

  1. 性能検査 ゲージの性能は、上記の規定に適合しなければならない。
  2. 形状・寸法検査 ゲージの形状・寸法は、上記の規定に適合しなければならない。
  3. 外観検査 ゲージの外観検査は、目視によって行い、上記の規定に適合しなければならない。

製品の呼び方

ゲージの呼び方は、規格番号又は規格名称及び種類による。

  • 例1 JIS E 1507 N-1
  • 例2 軌道用ゲージ N-1

表示

ゲージの見やすい箇所に、次の事項を表示する。

  • 製造年月又はその略号
  • 製造業者又はその略号