加圧注入方法

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かあつちゅうにゅうほうほう
pressurizing injection method tie
密閉注薬缶を使用して防腐剤を木材に加圧注入する。

加圧注入方法とは、木まくらぎに防腐剤を加圧して注入する方法で、この方法が最も木まくらぎを延命させる。

加圧注入法は、密閉注薬缶の中に木まくらぎとなる材木を入れ、減圧と加圧を繰り返して防腐剤を材木に注入する。

注入作業のおもな手順

防腐剤の注入手順は、

  1. 樹種ごとに注入台車に積み込む
  2. 注入台車には1台に付きまくらぎを40本から50本を積み込み、台車ごとに重量を測定する。(前重という)
  3. 注薬缶にもよるが、1回の防腐処理で7台から9台ぐらいを注薬缶に入れ施工する。
  4. 注薬が終了したら台車を搬出して、再び台車ごとに重量を測定する。(後重という)
  5. 前重と後重の差からまくらぎ1本あたりの平均注入量を測定する。
  6. まくらぎに対する浸透長とクレオソート油の濃度が規定どおりとなっているかコア採取する。
  7. 浸透長と濃度の測定をする。

以上で防腐処理が完了する。

また、以前はより防腐効果を高めるために注入前にプレボーリングを施す方法も実施されていた。

防腐剤の加圧注入方法

加圧注入方法には、第一方法、第二方法、第三方法があり、それぞれに低圧法と高圧法がある。

一般には低圧法にて加圧注入が行われるが、高品質が要求される木まくらぎや注入しにくい樹種に対しては高圧法が用いられる。

第一方法(ベセル法)

木まくらぎとなる木材を薬注缶の中に入れ、加圧前に薬注缶の内部を減圧する。木材中の空気を希薄にしてから加圧注入する。この方法が最も注入量を多くすることができる。

  1. 減圧を開始する。
  2. 薬注缶内の減圧度を高くしていく。
  3. 所定の減圧度まで達したらそのまま保持する。
  4. 減圧度を戻しながら防腐剤の導入開始(防腐剤が充満したのち減圧ポンプを停止する)
  5. 常圧復帰したら加圧開始。
  6. 薬注缶内の加圧を高めていく。
  7. 所要最高圧力に達したらそのまま保持。
  8. 圧力停止後、防腐剤の排出。
  9. 後減圧の開始。
  10. 減圧度を上昇させる。
  11. 所要最高減圧度を保持する。
  12. 減圧ポンプを停止する。
  13. 常圧復帰して終了。

第二方法(ローリー法)

前減圧をおこなわず、直接加圧注入する方法。第一方法と第三方法の中間的な性質。

  1. 防腐剤の導入を開始する。
  2. 加圧開始。
  3. 薬注缶内の圧力を高めていく。
  4. 所要最高圧力に達したらそのまま保持する。
  5. 加圧停止。
  6. 徐々に常圧に戻す。
  7. 後減圧の開始。
  8. 薬注缶内の減圧度を高めていく。
  9. 所要最高減圧度に達したらそのまま保持する。
  10. 常圧に復帰する。

第三方法(リューピング法)

加圧注入の前に薬注缶の空気圧を高めて、高めたまま保持し防腐剤を注入して加圧する方法。加圧を戻すと防腐剤が内部空気圧により表面に押し上げられて、一番効果的な木マクラギの表面付近の防腐剤の密度が最大となる。

別名、節約法とも言われている。木まくらぎの交換作業上少しでも軽くしたい橋まくらぎなどによく用いられる。

  1. 空気圧開始とともに圧力を上昇させる。
  2. 所要空気圧力になったらそのまま保持する。
  3. 空気圧を停止して、所要最高空気圧を保持しながら空気と防腐剤を置き換える。
  4. そのまま加圧上昇させる。
  5. 所要最高圧力に達したらそのまま保持する。
  6. 保持後常圧に戻す。
  7. 防腐剤を排出する。
  8. 減圧開始。
  9. 所要最高減圧に達したらそのまま保持する。
  10. 常圧復帰する。

高圧法

別名高温高圧法とも呼ばれていて以下のような特性がある。

  • 防腐品質がよく、注入困難な心材部分の浸透が向上し樹種間の格差を縮小する。
  • 防腐品質の向上により、防腐された木まくらぎの信頼度が向上し、検査の単純化や機械化の可能性を増大させる。
  • 高温による内部殺菌、乾燥度の向上、耐水性の増加など、さまざまなところで有効である。