レール断面

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れーるだんめん
rail section , cross-section of rail , rail section of profile

レール断面とは、レールの長手方向に対して直角に切断したときの断面形状のことである。

レール断面の概要

レールの断面とレール形状を設計して決定するのには、基本的に考えなければならない条件は、

  • 外からの力が作用する車両からの荷重や温度の変化によって生じる縦側の荷重に対して、レールの断面形状が大きく変形しないこと。
  • 長期間の使用によってレールの断面形状の摩耗レール化などによる変化がなるべく少なく押さえられるようにして、かつ、円滑な車両走行を可能にして、十分な耐久性を確保することである。

の 2 つの条件である。

この 2 つの条件を満たさなければ次のように、

  • 車両の構造と荷重
  • 列車の走行速度
  • 軌道構造とその構成部材

の影響を大きく受けてしまう。また、レールの材質と機械的性質に大きく依存しているため、レールの腐食レール化など使用環境にも大きく影響される。

レール断面の形状を設計するにおいて、軌道構造の特性を十分に考慮して、列車の車両走行による動的な作用力を可能な限り小さく押さえて、軌道保守の効率化を図る。

レールの各部名称

現在最も普及している平底レールのレール断面。それぞれ各部に名称がつけられている。
  • A = 頭部
  • B = 腹部
  • C = 底部
  • D = 頭幅
  • E = 頭頂部
  • F = 頭部側面
  • G = 上首部
  • H = レール高さ
  • I = 下首部
  • L = 腹部側面
  • P = 底幅
  • R = 頭部高さ
  • S = 腹部高さ
  • T = 底部高さ
  • θ = 継目角度

現在主要に使用されているレールの断面は、頭部、腹部、底部の 3 部で構成されている。これらの各部分は基本的に備えなければならない条件など、レール断面の全体として釣り合いを保たなければならない。

世界各国において、さまざまなレールの断面形状を設計されているが、それぞれ特徴はあるもののレール断面形状については極端な差はない。であるから、レールの重量やレールの曲げ剛性が軌道の保守からの観点で定められると、その主要な各部寸法はほぼ決定される。

このようなことから、各国ともレールの名称は、特別な形状以外、そのレールの単位当たりの重量で表現していることが多い。

レールの高さ H

レールの高さは、鉄道のレールとしての主要な役割を果たす部分です。列車の車輪からの集中荷重を受けるレールが梁としての役割を果たし、レールの曲げ剛性を決める。このレールの高さが、レール断面寸法の中でも最も大きなうウエイトを占めています。

この曲げ剛性は、弾性係数と断面の重心からの距離の2乗に、その部分の断面積を乗じて全断面について積分して求められる断面2次モーメントの積である。重心より離れた部分の面積が大きいほうがこの値も大きくなる。したがって、現在のレール断面の形がI型に近いのはこのような力学的なもとに発展したものである。

レールの高さを大きくすれば、レールの曲げ剛性が高くなるが、レール小返りのような安定性は低下する。したがって、レールの高さと底部幅との比はある一定の比率に抑える必要があります。

レールの頭部 A

レール頭部の役割は、列車の車輪からの荷重を直接支えつつ車輪を円滑に誘導するものである。そのため、車輪と常に接触する頭頂部の曲率は摩耗形状に近いものとして、レールにかかる接触応力を出来る限り小さくすることが必要になります。

しかし、最近の研究では、レールと車輪の幾何学的な接触条件によって決まる。接触ばね係数が大きいと騒音に大きく影響する周波数の高い領域の輪重変動が大きくなることが明らかにされてきた。

また、実際の使用状況における摩耗限度の観点から、頭部の高さは出来るだけ大きいほうが望ましい。

レールの頭部側面 F

レールの頭部側面(レールの内側面・レールの外側面)は、レールの垂直に対して一定のこう配が付けられている。これは、一般にレールが1/40傾斜して敷設されていることと、レールの製造時の圧延の容易さを考慮しているからである。

レールの頭部下面(レールのあご部) θ

頭部の下面は継目板を敷設するのに接触しつつく、くさび作用によって緊締力を発生する重要な役割を果たす部分です。この下部の形状は継目板の設計ととも設計される。

現在使用されているレール頭部下面形状は、

の 2 種類が主流となっている。

ヘッドコンタクト形は、レール底部上面の傾斜をきつくして、くさびの作用を出すようにしている。そして、くさび作用のため摩耗余裕を大きくしている。ヘッドフリー形の場合は、レール底部上面の傾斜は緩い設計となっている。

レールの腹部 B

レール腹部は、継目板がここのレール腹部の高さに収まるように設計することが必要である。そのためには、継目板の曲げ剛性に重要な役割を果たすことになる。また、腹部の高さが、そのままレール自体の梁としての曲げ剛性につながることから、とても重要な役割を担っている部分であります。

設計時に最も注意している点は、列車の車輪からの荷重が、レールの梁としてのせん断荷重に対して、頭部から腹部、そして底部へと変化する、断面変化部分の応力集中による局部応力を発生させる輪重を押さえることである。

輪重がレール頭部に偏心して作用してしまうと、腹部の断面変化部に大きな応力が発生してしまい、さらには車輪からの横圧の作用はこの傾向を助長する。であるから、これらの断面変化部の曲率半径は応力集中を出来るだけ抑えるため大きくすることが望ましい。

レール腹部の厚さは、輪重によるせん断応力、断面変化部の局部応力を小さくするとともに、腐食による断面減少を考慮することも重要である。

レールの底部 C

レール底部は、横方向の曲げ変形とレールの小返りと呼ばれているレールのねじり変形を小さくするために重要な役割を果たしている。

レールの横方向の曲げ剛性は、ロングレールの座屈抵抗の基本的要素となる。また、列車の車輪からレールへ、そして、まくらぎへ伝わる荷重の影響を出来るだけ緩和させなければならないので底部の幅は大きくとられている。

ある程度の制約されたレールの断面の中で、全断面形状との釣り合いを取ることと、レール製造時における圧延の容易さを考慮すると、この底部幅を大きく取ることには限界がある。

底部の上面については、継目板を緊締するためのくさびとしての役割も担っているので、ある程度傾斜を考慮しなければならない。

底部の端部の厚さはレール締結装置の設置を考慮すると一定の厚さが必要となってくる。底部上面の傾斜との関係で底部の厚さを確保するために2段の傾斜をつけることも多い。

レール製造時の断面形状

レールは大量生産品として、生産効率と品質の安定が求められている。製鋼によるレール製造においては、鋼を1000℃以上に熱し圧延して作られる。この製造条件が、レール断面形状において重要な設計条件となる。高温の熱間圧延に際して、曲がりやねじれなどの熱変形が生じないように、レール断面形状内の温度分布が、均一な状態に維持できることが重要である。

したがって、レールの頭部、レールの腹部およびレールの底部の断面比はほぼ一定値にしなければならない。そして、レール断面の変化部のような曲線部分の半径は、なるべく大きく設計したほうが圧延上有利となる。であるから、直線部分を結ぶ部分には角が生じないように曲線をつけることが製造上重要になってくる。