エンクローズアーク溶接

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えんくろーずあーくようせつ
enclosed arc welding
2本のレールの間に隙間を設けて、その隙間に溶接棒を溶融させ溶接していくエンクローズアーク溶接である。

エンクローズアーク溶接とは、電気溶接の一種で、溶接精度をよくするために溶接レールの形状に合わせて周囲を銅ブロックで囲み、低水素系高張力鋼被覆アーク溶接棒を使用してレールを溶接することである。

エンクローズアーク溶接の原理

エンクローズアーク溶接の原理は、溶接する2本のレールの間隔を一定にし、その間隔部分を溶接時に冷却し銅製の当金で囲みこむ。そして、母材と電極棒との間に高電流(120から260A)のアークを発生させて、溶接棒を溶融させ順次隙間をを層状に埋めていく。

エンクローズアーク溶接の利用

エンクローズアーク溶接自体は、造船・製缶・車両・橋梁などいろいろな分野で使用されているが、レールについては、溶接手順や溶接棒などの信頼性の関係から長らく適用されなかった。 しかし、東海道新幹線を建設するに当たり機動性のある現場溶接の必要性から、当時の技術研究所が神戸製鋼と日本鋼管の協力を得て開発し実用化に成功した。その後、優秀性が認識され広く使用されている。

この溶接方法は、他国にはあまり例を見ない日本国内独自の方法である。

エンクローズアーク溶接の方法

溶接部の積層方法はきわめて複雑な手順を踏みながら溶接をおこなう。

特にレール底部にいたっては電流や溶接棒を順次取り替えながら6層実施する。そして、腹部・頭部も同様に積層していく。また、この積層と同時に発生するスラグも同時に除去しなくてはならない。このため、溶接部の良否は溶接技術者の技量に左右されることになる。したがって、溶接者は所定の技量検定試験を合格したもののみが従事できることとなっている。

エンクローズアーク溶接の特徴

溶接方法の特徴は、フラッシュバット溶接ガス圧接などの圧縮溶接方法と違い、レールが短くならないことである。長尺化されたレールを現場で溶接する二次溶接など敷設後の溶接に適している。

しかし、作業開始から作業標準どおり施工すると2時間半ぐらいの時間がかかる。また、溶接部がきわめて人的要素が強い。溶接用の電源が大きくなることなど、施工性・信頼性・作業性に若干の難点がある。

また、施工法方が悪いとエンクローズアーク溶接損傷の原因となるので注意が必要である。