転炉製鋼法

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LD法から転送)
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てんろせいこうほう
converter steelmaking method , LD process , Linz and Donawitz process
転炉製鋼法による製鋼作業。転炉が傾けられ鋼が取り出されている様子。
転炉から鋼をこのトーピードカーと呼ばれている混銑車に移され運ばれている。

転炉製鋼法は、歴史的に平炉法より古く、ベッセマー法(酸性空気底吹転炉製鋼法)、トーマス法(塩基性空気底吹転炉製鋼法)が最初の転炉法による製鋼法である。

概要

転炉製鋼法は、英国のベッセマー氏による発明である酸性空気底吹転炉製鋼法(ベッセマー法)と、同じく英国の塩基性空気底吹転炉製鋼法(トーマス法)が最初の転炉による製鋼法である。

歴史

ベッセマー法においては、リン、硫黄のような不純元素を要綱から十分に除去することができない。トーマス法では、リンの燃焼熱を熱源とするのでリンの含有率が高い溶銑を使用しなければならないなど、製造品質で後に発明された平炉製鋼法に及ばなかったため順次切り替えられていった。

しかし、1949年(昭和24年)オーストリアで純酸素吹上転炉法が開発され、日本の製鉄所での平炉法は、順次この方法に切り替えられ、現在ではほとんどこの製鋼法による方法で製造されている。

移行理由

日本鋼管にて転炉製鋼法で西暦1980年2月に製造された50kgNレールロールマークにLDの浮き出し文字が見える。

平炉製鋼法に比べて生産性が約10倍であり、外部エネルギーの消費量が1/6ですむ。また、建設費が1/2程度であることなどであり、また、操業技術の進歩、コンピューターの活用などにより品質面でも平炉法より優れている。

この製鋼法は、開発されたオーストリアのリンツ(Linz)およびドナビッツ(Donawitz)の頭文字を取りLD法とも呼ばれている。

この転炉製鋼法で製造されたレールの腹部にロールマークで「LD」という浮き彫り文字使用されていて、現在、日本で製造されているレールのほとんどはこの製鋼法によって製造されている。

製鋼作業

一般的な転炉製鋼法の製鋼作業手順。

製鋼作業は以下のとおりである。

  1. 溶銑をトーピードカー(混銑車)にて運搬し溶銑鍋へ投入する。
  2. 転炉については、炉を傾けてスクラップと溶銑鍋から溶銑を装入する。(スクラップと溶銑の重量比は2:8程度)スクラップは溶銑の温度を下げるので30%以下としている。
  3. 転炉を直立させランス(銅製の水冷孔)により高圧の純酸素を吹き付ける(吹練)溶銑に含まれている炭素、ケイ素、リン、硫黄などは激しい酸化反応をおこし、溶銑約1,300度が1,600度をこえる高温になる。
  4. 吹練開始と同時に有害物質であるリン、硫黄を取り除くため副原料(生石灰、蛍石、鉄鉱石)を投入する。すると、炉内でスラグが生成され溶鋼と分離される。
  5. 吹練が終わると炉を傾け温度、溶鋼のサンプリングを実施し、所定の鋼に吹練されていることが確認されると出鋼となり、溶鋼を取鍋に移される。
  6. 取鍋に移されるとき、脱酸剤(フェロシリコン、フェロマンガン、金属アルミニウムなど)を投入。