レール桁
れーるげた
temporary track support , stringer rail , rail girder

レール桁とは、仮受け工法のひとつで、古レールを数本組み合わせて、橋桁と同じ働きを持たせたものである。
列車の運転中に安全を確保しながら軌道下で工事を行う場合、または、軌道に接近して工事を行う場合などにおいて、軌きょうを一時的に仮受けする工法のひとつとして、比較的スパンの短いところに適用されている。
レール桁の概要
レール桁は、古くから応急復旧や工事桁に多用されていて、まくらぎ下から受ける敷き込み式と、まくらぎの上から吊る、上げ吊り式の2種類がある。
レールの所要本数は、支間別に決められているがレールの強度は軌道として働く全強度ではなく、桁としてのたわみにより制限されているから、支間が5m以上のものは、特別な考慮が必要である。
上げ吊り式レール桁の特徴
レール桁には、敷き込み式と上げ吊り式の2種類があるが、ほとんどこの上げ吊り式レール桁が使用されている。
まくらぎ上に主桁(レールの組み合わせ)を載せ、本線レールの下部に挿入した横桁を締め金具によって締め付け、本線レールを吊る方法である。この方法は、応急工事または構造物の改築、新設などでレール下部に空間が少ない場合用いられて、道床をかき出す必要が無く重宝されている。
しかし、軌間内外にレールを並べるので当然本数の制約を受け、本数ごとに各種の締め金具を用意しなければならない。また、軌道回路が構成された線路に敷設するときは、絶縁について特段注意を払う必要がある。
上げ吊り式レール桁の注意
- レール吊り桁の最大の欠点は、たわみと横揺れが大きいことで、原則として直線または曲線半径が600m以上のところに仮設することとし、支間が4m以上となる場合については特別な注意を払う必要がある。
- レールの張り出しの恐れのあるときは、保修作業をさける。
- 主桁レール受け台の基礎となる道床面は十分に搗き固めておく。
- 受け台は緩みやすいことから、有効な支持面を得られるよう支間を定める。このときの支間とは、荷重支承点間の距離をいう。
- かんざしレールの挿入位置は、市間部ではマクラギ間ごととし、主桁レールの両端には必ず1本取り付ける。
- 軌道回路区間では、短絡を考慮し絶縁関係に注意を払う。
- 古レールの使用に当たっては、摩耗の程度、傷の有無を十分調べて使用する。
- 組み合わせたレールが一体となって働くよう堅く締め付け、レールの底部の重なりや食い違いを防止する。
- 支承部に用いるマクラギは、なるべく同じ厚さの平らなものを使用し、パッキングの調整はしない。
- マクラギ移動防止に用いるフックボルトは、マクラギ1本おきに取り付け、その頭は必ずレールに直角になるよう十分締め付ける。
- 徐行速度は、Uボルトの直径が32mmで50km/h以下、28mmで35km/h以下とする。
- 受け台の土留めとなる杭の沈下または傾きがある場合は適切な処置を施す。
- 必要に応じて基準杭を設置し沈下量を計測する。
敷き込み式レール桁の特徴
敷き込み式レール桁とは、本線レールのマクラギ下面にレール桁を敷き込む方法のことである。この方式は、吊り上げ式に比べ上からの荷重を有効に受けることができ、ボルトの緩みなどが少なく保守が容易である。しかし、砂利をマクラギ下面から相当の深さまでかき出さなければならないことや、軌きょう下にレール桁を組み込むため作業が非常に困難な欠点がある。
敷き込み式レール桁の注意
- レール張り出しの恐れがあるときは作業をさける。
- あらかじめ遊間整正をしておく。
- 準備作業の道床砕石のかき出しは、過度に先行して行わない。
- フックボルトや縫ボルトは十分締め付ける。
- 徐行速度は、35km/h以下とする。
- 受け台の土留めとなる杭の沈下や傾きがある場合は適切な処置をする。
- 必要に応じて基準杭を設置し沈下量を計測する。