黄銅ロウ溶着レール損傷

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おうどうろうようちゃくれーるそんしょう
brass wax adhesion rail wound
黄銅ロウ溶着の施工不良により、レールが横裂にいたることがある。

黄銅ロウ溶着レール損傷とは、信号、短絡感度の向上目的としたレール頭頂面への黄銅ロウの溶着部溶分より亀裂が発生して横裂にいたる損傷である。

損傷の発生と発達の原因

超閑散線区とか車両などの留置線ではレール頭頂面の表層酸化被膜(サビ)が通電を阻害して信号を支障させることがある。このような場合には、短絡感度の向上を目的として頭頂面の車輪接触位置の表層を研削して、黄銅合金をロウ付けする黄銅ロウ溶着レールがある。

黄銅ロウ(Cu-Zn合金)の溶融点は約850度で、レール鋼のオーステナイト化温度域にある。したがって、ロウ付け作業に際して使用される酸素プロパンのバーナーの容量、予熱温度、ロウ付けの速度の組み合わせが適切を欠くようなことがあると、加熱領域の頭頂部はマルテンサイト化して損傷の原因となる場合がある。

破端については、ロウ付けされたレール頭頂表層の直下を起点として脆性亀裂を呈して熱影響部はマルテンサイト化している。

主な防止方法

ロウ付け作業後の冷却速度に及ぼす気温の影響が大きく、冬場に施工すると亀裂の発生率は高くなる。したがって、ロウ付けは気温が高い時期に施工することが望ましいが、やむを得ず低温時に施工するときには、予熱などの熱入力を大きくするとともに作業後は適切な探傷検査を実施するとよい。

一般に高炭素鋼成分であるレールに酸素プロパン、アークなどの熱を加えますと、金属組織が変化し、クラックの発生の危険が増す。したがって、溶断、溶接については細心の注意が必要である。