電食
でんしょく
electric erosion , electrolytic corrosion , stay current corrosion
電食とは、直流の電化区間で回帰電流がレール底部などから大地へ漏れ、レールと大地が接触している部分でレールが損傷すること。別名、電蝕ともいわれている。
電食の特徴
レール損傷のひとつで、電化区間の鉄道線路においては、電車を走らせるためにトロリー線などで電流を流している。その電流は列車を動かし、帰線がレールを介して変電所へ返される。しかし、帰りの電流の一部がレールから大地へ漏れる場合がある。この漏れる電流によりレールが電解腐食される現象を電食という。
電食の発生場所
レールの電食は、おもに直流電化区間で発生するが、非電化区間でも信号電流により電食が発生することがある。
また、変電所から比較的遠い区間で多く電食が見られ、踏切道やレール締結装置においては、犬クギや締結ばねなど、レールを締結している部分で、道床の砕石などがレールに直接大地と接触している部分で電食が多く発生している。
そして、変電所より5km以上はなれた場所に多く発生している。
電食による被害
ひとたびレールが電食するとレールの断面が減少してしまう。そして、金属の表面に小さな孔(ピンホールと呼ばれます)ができ、その内部に腐食が進行する孔食が発生する。
このような状態になると、レールの引張強度と疲労強度が著しく低下してレールが折損してしまう恐れがあるので注意が必要である。
電食の防止
レールの電食を防止するには、レールの対地電圧を低くするほか、電流の漏れ抵抗を大きくする方法があるが、設備的な問題などもあり根本的に防ぐことは難しい。
しかし、なるべくレールを延命させるには、踏切道においては、内部を湿潤状態にしないこと。そして、レールと道床砕石を接触させないようにすることによって、ある程度は電食を抑えることが出来る。そして、レール締結装置においては、レールに密着させて水分が残らないようにすることが重要である。
また、最近ではレールに特殊な防食する繊維をコーティングして敷設しているものも見られる。しかし、電食が甚だしい区間では、これらが抜本的な対策となっていないのが現象である。