軌間

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きかん
gauge , gage
左右のレールの間隔を測定する時に用いられる一般的な機器で軌間ゲージと呼ばれている。従来は短絡防止のため木製の軌間ゲージが使用されていたが、最近では、より軽量なFRP製が一般に使用されている。
軌間ゲージの目盛は、基準となる軌間が1,067㎜の場合、軌間ゲージの目盛が+-0㎜を指していたら+-0㎜である。この場合、目盛が21㎜を指しているので、軌間が+21㎜の1,088㎜となる。

軌間とは、鉄道の線路でレール面より下方の所定距離内における左右レールの頭部間の最短距離のことである。

概要

車両は2本のレールによって直角方向には逃げられないように車輪をガイドされて走行する。車輪のレールに接する踏面とフランジ面には、左右1対の車輪が常に軌道の中心に沿って走れるようこう配が付けられている。このような状態で車両が走行すると、車輪とレールの接触部には相互に摩耗を生じて変形し、さらに両者の公差の影響もあり、接触位置は常に変化する。しかし、車両の安全または快適な走行を確保するためには、この接触位置は一定の範囲内に限定されていなければならない。この接触位置の両側レール間における最短距離のことを一般に軌間と呼んでいる。

軌間の詳細

在来線では、レールの上面から、14mm以内の頭部の最短距離を軌間としている。その軌間は、1,067mm(3フィート6インチ)である。

また、新幹線では同じくレール上面から、14mm以内の頭部の最短距離を軌間としている。その軌間の寸法は1,435mm(4フィート8.5インチ)である。

年月が経つと列車の通過により軌間に変位がみられるようになる。ある一定の基準を超えると保線区などで軌間整正の計画を立て保修を施工する。

国際的な軌間の寸法

国際的に広く用いられている軌間の寸法は、1,435mmであるため、この寸法を標準軌として、この寸法より広い軌間を広軌、狭いものを狭軌といわれている。

黎明期の軌間

1764年ごろ、キリングワース(Killingworth)炭鉱において、約4.8kmの区間で軌間寸法が4フィート8インチの軌道が敷設された。それは、木製で作られたレールであった。

そして、1776年にナンナリ炭鉱において、それまで使用されていた木製のレールに変わり、鉄板張り付けレールL形レールが開発されて使用された。

そのころから、左右レールの寸法が、軌道の構造上いっそう重要な役割を果たすようになってきた。

1789年に魚腹形レールが発明され、それまでレール側にフランジが使用されていたものが車輪に移り、レールの軌間がよりいっそう重要視されるようになった。

4フィート8インチの軌間が採用された理由は、当時、石炭を運搬する車両は、軌間内を馬が引いたり人間が押したりしていたので、この軌間寸法が採用されたといわれている。

蒸気機関車が発明されたころの軌間

それまで、馬や人間が動かしていた車両を蒸気機関車が動かすようになった。

4フィート8インチで敷設されていた軌間では、軌道が悪いのか、車輪が悪いのか、車輪のフランジがレールに食い込み車両の走行抵抗が高くなった。また、車輪のフランジがせり上がり脱線する事故も発生した。

対策として、車輪を修正するには容易ではないため、一番簡単な方法として軌間の寸法を1/2インチ(12.7mm)広げる対策が講じられた。

そして、軌間の寸法が4フィート8 1/2インチ(1,435mm)となった。

4フィート8 1/2インチ軌間の採用

新しい線路が次々新設されていく中、軌間もそのまま4フィート8 1/2インチ(1,435mm)が採用されていった。

このときに採用された軌間が最も普及してしまったため、現在の標準軌間(標準軌)は4フィート8 1/2インチ(1,435mm)となった。