接着絶縁継目

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せっちゃくぜつえんつぎめ
glued insulation joint
50kgNレールロングレール区間に敷設されている接着絶縁継目。
接着絶縁継目の切断面。レール継目板の間に熱硬化性エポキシ樹脂とガラスクロスの接着層があることにより左右のレールが絶縁されている。

接着絶縁継目とは、軌道の弱点箇所である絶縁継目を強化するために、強力な接着剤で接着し、ロングレール区間での大きな軸力でも抵抗できる絶縁装置である。

軌道構造上で最も弱点箇所である絶縁継目を強化するために、レール継目板を強力な接着剤を使用して接着して、レールの軸力と列車衝撃強度に耐え、電気的絶縁性を十分持たせた絶縁継目である。

近年では、突き合わせ部分がレールに対して直角ではなく、伸縮継目のように斜めになった斜め接着絶縁継目も開発され敷設されている。

開発の経緯

接着絶縁継目は昭和39年ごろから開発されはじめ、レールの衝撃性やレールの軸力に耐え、その上、十分な絶縁性を有することが確認され、昭和54年に国鉄において規格化された。

その後、昭和59年に製造過程において湿式法による接着法が採用されて、さらに製造方法や機械化・近代化により、より強度を増した乾式法に改正され現在に至っている。

最近では、近年の急速なロングレールの普及に伴って、接着剤や絶縁材の開発で技術向上が見られ、乾式法によるJIS E 1125が平成7年に制定されて現在に至っている。

製造方法

接着絶縁継目は、全面密着型の特殊な継目板を用いて、レールと継目板を機械加工して表面処理したあと、継目板の間に熱硬化性エポキシ樹脂とガラスクロスの接着層を形成する。

そして、レールとレールの突合せ部分にレール形を挟み、レール絶縁に用いるフィッシュボルト、平座金、ナットにて強力に締結される。

接着絶縁継目の種類と使用範囲

接着絶縁継目に使用するレールは、普通レール頭部全断面熱処理レールHH340レールHH370レール)があり、ともに50kgNレール60kgレールが規格化されている。

標準的な接着絶縁継目は以下のとおりである。

曲線半径とレールの種類 R=300m R=600m R=1000m R=3000m R=4000m R=5000m 直線
普通レール
HH340 なし なし なし なし
HH370 なし なし なし なし
使用範囲(50N) R=260m-400m R=401m-800m R=801m-3000m なし なし なし R=3001m以上と直線区間
使用範囲(60kg) R=260m-400m R=401m-800m R=801m-1500m R=1501m-3500m R=3501m-4500m R=4501m-8000m R=8001m以上と直線区間


湿式法と乾式法

接着絶縁継目が開発された当初は、湿式法と呼ばれる方法で製造されていた。

硬化剤と硬化液を混ぜ合わせてガラスクロスに塗布してから圧着して、加熱硬化する方法である。

しかし、現在では、乾式法と呼ばれる方法が採用されて製造されている。

それは、あらかじめ、化学工場においてガラスクロスに接着剤を塗布したプリプレグを製造しておき、そして、これらを工場にて圧着して加熱処理する方法である。

接着絶縁継目の保守

列車荷重による曲げ応力を小さくすることが大切である。そして、接着層の剥離などを防止するためまくらぎの支持方法はかけ継目とする。また、まくらぎ配置本数が39本/25m以下の場合は、まくらぎ間隔を小さくすること。

そして、接着部においてのフローを初期の段階で除去することにより短絡防止を図る。

PCまくらぎの締結装置と接着絶縁継目の継目板が接触すると、レール締結装置が金属製の場合、短絡する恐れがあるので注意が必要である。短絡防止の為に接着絶縁専用のナイロン製のレール締結装置を用いるのが有効である。