レール塗油器

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れーるとゆき
rail lubricater , track lubricater , wayside lubricater , curve lubricater , rail oiler , track oiler

レール塗油器とは、レールの摩耗を防止するために塗油する機械のことである。

急曲線区間では直線区間に比べて大きな横圧が発生するため、側摩耗レール偏摩耗レールの発生を助長し、また、車輪フランジ直立摩耗の原因となっていることから、これらの問題を解決するために、車輪とレールの間の摩擦を抑制させるためにレール塗油が有効と考えられている。

レール塗油器の導入

急曲線区間においてレールを塗油することによりレール摩擦係数が低減される。その効果は、側摩耗レールの抑制にとどまらず、車輪の競り上がり脱線の防止にも有効と考えられている。しかし、摩耗軽減によってシェリング傷の発生原因である転がり接触疲労層の蓄積も考えられていることから、きしみ割れやシェリング傷などのレール頭頂面損傷に対しては、導入箇所において十分確認してからレール塗油の可否を検討する注意が必要である。

レール塗油器の変遷

西暦1954年(昭和29年)に列車通過時の振動を利用してグリスを吐出する構造のアラジン塗油器が始めて導入された。

その後、列車の車輪がレール頭頂面外側に取り付けられたピストンを踏み、その力を利用してグリスを吐出する改良型のアラジン塗油器が開発されて普及した。しかし、このレール塗油器についても以下の問題があった。

  • 列車の高速化に伴ってピストンの強度が不足して、ピストン周りの故障が多発している。
  • グリスタンク容量が小さいため給油する間隔が短く手間がかかっている。
  • 吐出されたグリスがスラッジ化してしまい、軌道を汚してしまう。

これらの問題を解決するために、西暦1974年(昭和49年)から西暦1978年(昭和53年)にかけて電動でレールに吐油するレール塗油器が開発され、新幹線や輸送密度が高い線区に導入されている。

近年においては、石油系のグリスに代わり環境に配慮された製品も開発され各社にて導入されている。