黄銅ロウ溶着レール

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おうどうろうようちゃくれーる
brass wax adhesion rail
東海道新幹線の側線において、軌道回路の短絡感度を向上するために黄銅ロウを溶着されている。
レール頭頂面を切削し黄銅ロウを溶着したレール。この部分だけ表層酸化被膜(サビ)がでない。

黄銅ロウ溶着レールとは、閑散線区などにおいてレールの錆によって軌道回路の感度が悪くなり、信号などに障害が発生するのを防止するため、レール頭面を削溝して黄銅ロウを溶着して軌道短絡感度を向上させるものである。別名レールメッキともいう。

その他として、黄銅ロウの変わりにステンレス溶接をする場合もある。

黄銅ロウ溶着レールの特徴

列車の通過が閑散な線区や駅構内などの側線において、レールの錆が列車の車輪によって十分に除去されないため、列車の車輪によって軌道回路が短絡しない現象が起こることがある。すると、短絡しないと信号回路が働かず事故が発生する恐れがある。

この現象を防止するため、レール頭頂面で車輪のあたる部分に約2mmの溝を削正して黄銅ロウ(合金)を溶着させる。

こうすることにより、列車の車輪で軌道回路を短絡させる感度が向上して、信号障害の発生を防止している。

レールの削正方法

黄銅ロウ溶着レールを製作するには、レールのゲージコーナーの頭頂面に溝幅6mm、深さ2mm、底辺4mmの断面が台形をした溝を作成する。

黄銅ロウの溶着方法

黄銅ロウの溶着は、作成されたレールの溝にネーバル黄銅溶接棒を、酸素アセチレン炎を使用して溶着させる。

ネーバル黄銅溶接棒は、銅約60%、亜鉛約39%、スズ約1%を使用する。

黄銅ロウ溶着時の注意

黄銅ロウを溶着するときに注意しなければならないのは、レール材質の変化である。

レールの頭部は、レールの材質である鋼の変態点を越えて加熱されるため、材質変化が起こらないよう厳しい温度管理のもと施工しなければならない。

予熱は中性炎で、レール温度が400度から450度で行う。黄銅ロウの溶着時のレール温度は900度を超えてはならない。

施工方法が不備であると、黄銅ロウ溶着レール損傷となるので注意が必要である。

溶着速度

黄銅ロウを溶着させるときの進行速度は、毎分70mmから90mmが適当である。

この速度より早いと黄銅ロウが不溶着となり、量が不足して通電性が悪くなる。

また、速度が遅いと不必要な黄銅ロウが付着してロウ内にブローホールが生じることになる。

溶着後の処理

黄銅ロウの溶着後は、自然放令とする。また、溶着箇所とその周辺を約400度で低温処理を行って、残留応力を低下させる措置を講じている。

黄銅ロウ溶着レールの選定

黄銅ロウの施工に当たっては、レール頭頂面に切り欠けを製作することになるため、事前にレールの調査が必要である。 そして、以下にあたるレールには、黄銅ロウの溶着をしてはならない。