レールボンド取り付け痕

提供: 保線ウィキ
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れーるぼんどとりつけこん
rail-bond scar
レールボンドを取り付ける際には、レールの母材に熱を加えるため、組織が変形してしまう恐れがあることから細心の注意が必要である。

レールボンド取り付け痕とは、レールレールボンドが接合する部分からの亀裂である。

レールの頭部外側の側面、レール腹部の面、レール底部上面または足部先端で、レールボンドの接合部から発生する漸進(ぜんしん)横裂である。この亀裂が進行すると最終的にはレール折損に至る可能性があるので注意が必要である。

漸進とは、比較的ゆっくり進むことである。

損傷の発生・発達の原因

電化区間に敷設されるレールは、レール端の軌間外側の頭側部、レール底部上部にレールボンド(銅燃線ロープ材)が通電抵抗を少なくするために取り付けられる。また、非電化区間についても踏切道の制御、信号の制御などでレールボンドが取り付けられている。

往年は、継目範囲の外側のレール腹部に穴を明けて銅製ターミナルをかしめ付けることで取り付けられていたが、現在では、Zn-Pb系のはんだ合金で接合が行われている。

溶融点温度は約300度であり、石油バーナー火焔で作業ができるのが特徴である。石油バーナーの代わりにプロパンガスバーナーを使用することもある。

低音溶融合金による黄銅ロウ付けなので、レールに与える熱影響は少なく、これによるレール折損は現在発生していない。

しかし、黄銅ロウ付けによる接合方法が採用される以前は、酸素アセチレンガス火焔による溶接作業でレールボンドが取り付けられていた。この方法は、レールが赤熱されて組織変化を伴い、そこからレール損傷にいたったものがある。

同一箇所に繰り返して黄銅ロウ付け作業を実施する場合、加熱温度によっては、はんだ合金成分であるZn付着による溶融脆化(ぜいか)により熱間亀裂が発生する場合がある。

脆化とは、金属が変形して元に戻らないこと。

レールボンド取り付け痕の注意点

黄銅ロウ付け作業は、レールの材質を損ねないように、熱容量の小さい石油バーナー、プロパンガスバーナーの火焔などで行う。

作業時間の短縮を狙い、酸素やプロパンガスによる高温での作業は、レールに及ぼす熱影響変質があります。特に、発生レール古レールのレール頭部側面に取り付ける場合、車輪の衝撃により脆化することがあるので注意が必要である。

再度、帰電ボンドを同じ場所に取り付ける時は、前の帰電ボンド取り付け痕が残っている場合があるので、そのようなレールに取り付ける時は、完全に跡を除去してから取り付けるようにすることが大切である。