「マルチプルタイタンパー」の版間の差分

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[[バラスト]]が主体の[[軌道]]の場合、列車走行に伴い、まくらぎが沈降し[[レール]]がわずかにゆがむ。このゆがみは、列車の乗り心地を悪化させる上に、高速走行を阻害する原因にもなることから、定期的なメンテナンスが必要となってくる。
 
[[バラスト]]が主体の[[軌道]]の場合、列車走行に伴い、まくらぎが沈降し[[レール]]がわずかにゆがむ。このゆがみは、列車の乗り心地を悪化させる上に、高速走行を阻害する原因にもなることから、定期的なメンテナンスが必要となってくる。
  
マルチプルタイタンパーが開発導入される前は、つるはし([[ビタ]]、[[ビータ]]ともいう。)やハンドタイプの[[タイタンパー]]で[[道床搗き固め]]作業を行っていたが、これらには、大量の人員と長時間にわたる作業時間を要していた。
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マルチプルタイタンパーが開発導入される前は、つるはし([[ビタ]]、[[ビーター]]ともいう。)やハンドタイプの[[タイタンパー]]で[[道床搗き固め]]作業を行っていたが、これらには、大量の人員と長時間にわたる作業時間を要していた。
  
 
しかし、最新の機械では、機械操作(オペレーター)に2人から3人、その他の監視等に1人から2人で作業ができる。そして、一般軌道では、100メートルを10分から15分程度でつき固めることができる性能である。
 
しかし、最新の機械では、機械操作(オペレーター)に2人から3人、その他の監視等に1人から2人で作業ができる。そして、一般軌道では、100メートルを10分から15分程度でつき固めることができる性能である。

2015年9月3日 (木) 21:28時点における最新版

まるちぷるたいたんぱー
multiple tie tamper , on-trarck tamper , mechanical tamper , production tamper
JR西日本が所有しているオーストリアのプラッサーアンドトイラー社製のマルチプルタイタンパー。世界各国で活躍しているスタンダードな大型保線機械。
JR東海が所有しているオーストリアのプラッサーアンドトイラー社製のマルチプルタイタンパー。オペレーターが2名で操作し分岐器内でも搗き固め作業が可能である。

マルチプルタイタンパーとは、鉄道の保線用機械の一種で、線路上を列車が走ることで生じる線路のゆがみをミリ単位で線形整正を行う保線用の機械のことである。略して、MTTまたはマルタイとも呼ばれていることが多い。

マルチプルタイタンパーの概要

通称、マルタイは、作業を行う時に線路閉鎖手続きをしてから、営業列車が終了した深夜に作業が行なわれることが多い。 マルタイの中でも大型と呼ばれているマルタイは、軌きょうを連続してクランプと呼ばれている装置で持ち上げ、まくらぎ下面に隙間を空けた状態で、タンピングツールと呼ばれている振動している鉄製の棒をまくらぎ間の道床に突き刺し、まくらぎ下の道床を高圧力でつき固めることにより、1㎜単位で線路の高低狂いを正しく整え、快適な列車の乗り心地を維持している。また、クランプで線路を高上する際には、同時に左右方向へ移動させることにより通り狂いも整正している。

マルタイの導入

バラストが主体の軌道の場合、列車走行に伴い、まくらぎが沈降しレールがわずかにゆがむ。このゆがみは、列車の乗り心地を悪化させる上に、高速走行を阻害する原因にもなることから、定期的なメンテナンスが必要となってくる。

マルチプルタイタンパーが開発導入される前は、つるはし(ビタビーターともいう。)やハンドタイプのタイタンパー道床搗き固め作業を行っていたが、これらには、大量の人員と長時間にわたる作業時間を要していた。

しかし、最新の機械では、機械操作(オペレーター)に2人から3人、その他の監視等に1人から2人で作業ができる。そして、一般軌道では、100メートルを10分から15分程度でつき固めることができる性能である。

マルタイの作業と構造

マルタイは、一部小型のものもあるが、殆どが大型の機械が一般的で、作業の流れは、

  1. 機械がレールをクランプで掴んでミリ単位で持ち上げ、まくらぎ下に隙間を設ける。
  2. タンピングツール(爪のような部分)で砕石(砂利)をつき固め、まくらぎ下に砕石を入れる。
  3. まくらぎ1本または2本つき固めたら先のまくらぎに移動し上記の作業を繰り返す。

この一連の順番で線路の不陸を修正していく。作業量は線路閉鎖の間合いにもよるが、1,000mを超える作業量をこなすことも可能である。

機械操作をするオペレーターは、足先のペダル操作により自走とタンピングできるため作業もスムーズである。

マルタイの短所は、高さの調整をするとき軌道を下げることが不可能な点である。高いところを低くすることはできないことである。また、鉄道信号機器類(ATSなど)や信号コード類が存在しているまくらぎについては搗き固めができないところもある。

大型のマルタイになると、高低狂いを修正するレべリング機能と、軌道の左右方向の歪み(通り狂い)も修正するライニングが可能である。

また、分岐器を搗き固めることのできる高機能なスイッチマルタイと呼ばれている機械も存在している。

最近では、搗き固め作業の邪魔にならない形状のATS地上子が増えていて、搗き固めたときに飛び散る砕石からATS地上子を保護するカバーも設置が進んでいる。