ポストテンションまくら

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ぽすとてんしょんまくらぎ
post-tensioning concrete sleeper , post-tensioned concrete sleeper
在来線でもっとも一般的に敷設されている国鉄3号PCまくらぎの端部。上段のまくらぎはプレテンションで製造されたPCまくらぎ。下段はポストテンションで製造されたPCまくらぎで引張力を与えた後、さび止めのためコンクリートで鋼棒端部を埋めている。
大阪の鉄道科学博物館で展示されているポストテンション方式で製造されたPCまくらぎ。赤丸がPC鋼棒。

ポストテンションまくらぎとは、PC鋼線の代わりにPC鋼棒を使用し、プレストレスを与えるまで鋼棒とコンクリートの間に付着力が働かないようにしておき、コンクリートが硬化し必要強度に達してから鋼棒に引張力を与え、コンクリートに圧縮力を与える方法のことである。

PC鋼棒とコンクリートとの付着力を絶つ方法として、かつてはコンクリートの打ち込み時点で入れておいた成形棒を養生中に抜き取り、新しい鋼棒を養生後挿入する方法が行われていた。

この方法では、プレストレスを与えた後は、PCまくらぎの破壊強度を高め、PC鋼棒の腐食を防ぐためセメントペーストを注入して、まくらぎ本体とPC鋼棒との間に付着させる。この方法をグラウト作業と呼ばれている。最近では、PC鋼棒にアンボンド処理材料を塗布することにより、打ち込み時点で入れておいた鋼棒をそのまま導入用鋼棒として用いるアンボンド工法が広く採用されている。

この工法とは別に、コンクリートの型枠に打ち込む前に、中のPC鋼線に所定の引張力を与えておき、コンクリートが降下して必要強度に達したら、鋼線をまくらぎ両端で切断して引張外力を開放することにより、鋼線とコンクリートの付着力によってコンクリートに圧縮力(プレストレス)を与えるプレテンションまくらぎがある。

硬化後脱型方式、半即時脱型方式

プレストレスを与えても良い程度にコンクリートが硬化したあとに型枠をはずして直ちにプレストレスを与える方法を硬化後脱型方式といわれている。

また、ある程度硬化した時に型枠をはずして所用の強度が得られるまでの別の養生をおこなったのち、プレストレスを与える方法を半即時脱型方式といわれている。

この方式では、比較的やわらかいコンクリートが使用できるため大きな振動締め固め機械は不要で、型枠もあまり堅固なものでなくても良く流れ作業ができるなどの利点がある。しかし、コンクリートが硬化するまで型枠の取り外しができないもので、型枠の回転率は即時脱型方式に比べ悪くなる。

即時脱型方式

コンクリート打ち込み直後に型枠を外す方法のことである。この場合、PC鋼棒を通す孔も同時に成形される。コンクリートは型枠を外したことによって崩れたり、ひび割れを生じたりすることなく、その後の取り扱いに際して変形してはならない。そのために非常に硬練りのコンクリートを強力な振動を与えて締め固めることが必要である。

この方式は型枠の回転率に極めてよいが、一本一本手作りに近い手間がかかるので日本では現在ほとんど利用されていない。